canio’s blog

モデラー/フィギュア原型師・太刀川カニオのブログです。

マスターボックス1/35 ”Women at War: Germany, Luftwaffe Helferinnen” act.1

マスターボックスの1/35「Women at War: Germany, Luftwaffe Helferinnen」から
女性フィギュアを一体チョイス。 ストレート組みしてパーティングラインを落としただけでディテールアップを一切せず塗装のみで仕上げてみました。
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インジェクションフィギュアは抜きテーパーの制限があるためだと思いますが、頭部パーツを別部品にして最適な角度でランナー上に配置しても顎のラインを上手く出せないんですね。 首も太くなってしまう。 男性フィギュアだと気にならない点ですが、これは女性的には欠点になってしまいます。 女性フィギュアは美人でないと評価されないという宿命を背負ってるのでツライですね(^^;
またスミ入れだけで顔に見えるようにという配慮だと思うんですが、目の彫り込みが深く、細いんですねぇ。これがまた女性的にマイナス要素。 目は塗りこむことを前提にしたらのっぺりした表現の方が塗り易いですよね。 ヒストリカルフィギュアの作例でも目だけは修正して塗りやすくしてるのを結構見ます。
そんな男顔のフィギュアを化粧するように塗装してどれだけ救済できるのか。 塗装は小顔メイク風に目をアイラインやつけまつげで外側に大きく見せるように描きチークやハイライトで頬を立体的にしてやります。 「小顔にみせるメイクテクニック」 みたいな記事はこういうときの塗装の参考になりますので一度調べてみると良いと思います。
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だいぶ変わるもんでしょ? 女性は化粧で大化けできるんですねぇ。怖いですねぇ(^^)
塗料は例によって適材適所の複合塗りです。 肌塗りにファレホ。服はガッシュ。瞳や眉、徽章類といった細部描き込みには油彩。 カバンの質感表現に同じく油彩。 手袋や靴には適度な艶が欲しかったのでエナメルを使いました。
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足の角度なんかからしてこのフィギュアのベストショットはこの辺の角度でしょうかね。 なかなか美人さんです。

でもってこっちが裏になるわけですね。
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どの角度から見てもカッコイイってポーズはなかなかないですから表があったら裏はできちゃうと思いますけど、特に顔のモールドはこちら側を造形的に「ニゲ」にしてるのかなぁと。 手を抜いたというより上で挙げた成型上の問題をここへ集めた感じ。 こちら側は頬の部分にほとんど凹凸がなく、顎のラインの終わりが曖昧で耳のモールドは輪郭さえも全くありません。 通常ならここいらはディテールアップポイントで顎のラインや耳の輪郭などは彫ってやるのが最善でしょう。 でも今回はグッとガマンして全部塗装で仕上げます。
顎のラインや耳はモールドを全く無視してダマシ絵的に描き込みました。 それでも結構立体に見えるものでしょ。 スカートなんかもパーツはツルッとしているので細かいシワや「たわみ」はやはりダマシ絵的に描いています。 このくらいのサイズのフィギュアではある程度塗装で凹凸の表現をフォローできちゃうんですね。 実際にツルッとして凹凸が全然ないようなガレージフィギュアも存在するんです。

モールドなんて飾りですっ
エライ人にはそれが分からんのですっ


なんて原型作ってる者が言うてはいけませんが(^^;
でも、実際に無い凹凸は塗りで表現できても、作ってしまった凹凸を消すのは困難です。 削リを入れるのは慎重にやって、塗表現と併用するのが良いのではないかと思いますね。 まぁしかし作り込みにはそれ相応の楽しみもあるので、それはそれなんですけどね。 たまにはこういう実験をしてみると色々勉強になりまする。